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連鎖販売取引に当たるかの見分け方|特定利益・特定負担と書面の確認

2026年10月22日に本文を全面的に書き直しました。書き直した本文は弁護士監修・技術確認の対象外です。

この記事の結論

  • 連鎖販売取引は、「人を紹介すると利益が入る」と誘い(特定利益)、入会金や商品購入などのお金の負担(特定負担)を伴う取引です。
  • 「負担は一切ない」と書面にあっても、販売を始めるのに商品の購入が前提なら特定負担に当たると、消費者庁の通達は示しています。
  • 当たる場合、業者には契約前の概要書面と契約後の契約書面を渡す義務があります。やめ方は解約と在庫返品の記事で確認できます。

「紹介すれば報酬が入る」と誘われた取引が、特定商取引法の連鎖販売取引に当たるのかを確かめたい方へ。判断の手がかりと、手元の書面で見る場所をまとめました。

判断の軸は「特定利益」と「特定負担」

MLM、ネットワークビジネス、マルチ商法と呼び方はさまざまですが、特定商取引法が規制する「連鎖販売取引」に当たるかどうかは、名前ではなく取引の中身で決まります。軸になるのは次の2つです(消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」)。

要件意味勧誘での言われ方の例
特定利益組織に加わる他の人が払う取引料や商品代金を元手にした利益。小売で得る差益は含まない「あなたが紹介した人の売上の○%が入る」「1人紹介するごとに○円」
特定負担取引を始めるために負う金銭の負担。入会金・保証金・登録料・研修費、スターターキットや再販売用の商品の購入代金など「最初に必要なのは登録料とセット購入だけ」

対象は物品の販売に限りません。エステやレッスンなどの役務を、同じ種類の役務を提供する人を増やす形で広げる取引も含まれます(同通達)。

「愛用者」として入った後に誘われた場合

最初は商品を使うだけの会員(いわゆる愛用者)として入会し、その時点では販売の話が無かったなら、入会金の支払いは連鎖販売取引に当たりません。ところが、半年ほどたって「そろそろ販売を始めてみないか」と言われ、商売を始めるために商品を買った場合は、自分で使うためか再販売のためかを問わず、その購入が特定負担になると通達は説明しています。

入会時の書面に「負担は一切ありません」「購入は自由です」と書かれていても、取引の実態で判断されます(同通達)。書面の文言だけで「当たらない」と決めつけないでください。

書面で確かめる項目

連鎖販売取引では、業者は契約を結ぶまでに取引の概要を書いた書面(概要書面)を、契約を結んだら遅滞なく契約の内容を書いた書面(契約書面)を渡さなければなりません(特定商取引法第37条)。手元の書面で、たとえば次の項目があるかを見ます。

  • 統括者(組織を束ねる会社)の名称・住所・電話番号
  • 商品や役務の種類、性能や品質に関する重要な事項(成分など客観的な記載)
  • 特定負担の内容と金額
  • 特定利益の計算方法(「売上額の○%」など、受け取る利益の仕組みが分かる書き方)
  • クーリング・オフを含む契約解除の条件

主観的であいまいな書き方は、記載したことにならないと通達は示しています。書面が無い、項目が欠けている場合はそのこと自体を記録しておきます。クーリング・オフの期間は契約書面を受け取った日(再販売用の商品を受け取った日の方が遅ければその日)から20日で、やめ方の手順はネットワークビジネスの解約と在庫返品にまとめています。

勧誘で禁じられている説明

勧誘する人は、勧誘に先立って、自分や統括者の氏名・名称、特定負担を伴う契約の勧誘が目的であること、扱う商品などの種類を明らかにしなければなりません(第33条の2)。勧誘のときに事実と違うことを告げたり、重要なことを故意に告げなかったりすることも禁じられています(第34条)。通達が挙げる不実の告知の例は次のとおりです。

  • 商品の購入が前提なのに「必要な負担は入会金1万円だけ」と言う
  • 「20日を過ぎたら解約できない」「参加者都合のクーリング・オフは認めない」と言う
  • 確実に収入が得られる保証が無いのに「誰でも確実に7桁の月収」と言う
  • 「消費者庁に認められた商法」と言う(連鎖販売取引を国が許可・認可する制度はない)
  • 連鎖販売取引かと尋ねられて「連鎖販売取引ではない」と答える

こうした説明で誤認して契約した場合は、契約の申込みや承諾を取り消せる規定があります(第40条の3)。言われた内容は、日時と言った人を添えてメモに残します。

連鎖販売取引に当たらない場合

特定利益が小売の差益だけで、紹介による利益が無いなら連鎖販売取引ではありません。店舗を持って販売する個人や法人を相手にした取引も、書面交付やクーリング・オフの規定の対象外です(同通達)。商品を介さずにお金だけを配当する仕組みはねずみ講(無限連鎖講)で、無限連鎖講の防止に関する法律で禁じられています。内職やモニターの仕事を紹介すると誘う取引は業務提供誘引販売取引という別の類型です。区別はマルチ商法とMLMの違いと業務提供誘引販売取引とマルチ商法の違いで確認できます。

相談するときの準備

国民生活センターに寄せられたマルチ取引の相談は2023年度5,158件、2024年度4,132件、2025年度4,003件で、解約・返金に関するものが多くなっています(国民生活センター「マルチ取引」、2026年5月31日現在)。相談の前に、概要書面と契約書面、報酬プランの資料、支払いの明細、勧誘のメッセージをまとめておくと、当たるかどうかの判断が早くなります。窓口は消費者ホットライン188(最寄りの消費生活センター)です。

相談前に保存する証拠

契約書面・概要書面

受領日、記載内容、解除条件、統括者情報を確認します。

勧誘メッセージ

LINE、SNS DM、メール、セミナー案内、紹介者の説明を保存します。

退会・返金申請履歴

申請日、相手の返信、引き止め、追加提案の内容を保存します。

よくある質問

友人から「マルチではなくネットワークビジネスだ」と言われました

呼び方で区別されるわけではありません。紹介で利益が得られると誘われ、始めるためにお金の負担があるなら、連鎖販売取引に当たる可能性があります。報酬プランの資料と、払ったお金の内訳を確認してください。

入会金は無料で、商品を買うかは自由と言われました

入会時に負担が無くても、販売を始めるために商品を買うことが前提になっていれば、その購入が特定負担に当たると消費者庁の通達は示しています。書面の文言ではなく実際の取引で判断されます。

連鎖販売取引そのものは違法ですか

法律は連鎖販売取引を禁止してはいません。書面の交付、勧誘のときの禁止行為、クーリング・オフなどのルールを定めて規制しています。違反があれば行政処分の対象になり、処分の有無は事業者の処分の調べ方で確認できます。

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