呼び方より「仕組み」で見分ける
「MLMはマルチ商法とは違う」「ネットワークビジネスだから合法」といった説明を受けることがあります。法律は呼び方で区別していません。特定商取引法は、次の要素がそろう取引を「連鎖販売取引」として規制しています。
- 商品やサービスを販売・あっせんする事業である
- 人を紹介したり販売したりすると利益が得られる(特定利益)と誘う
- 入会金、商品の購入、研修費など、何らかの金銭負担(特定負担)を伴う
国民生活センターも、一般に「マルチ商法」と呼ばれるものと特定商取引法の連鎖販売取引は必ずしも一致しないと注記しています(国民生活センター「若者に広がる『モノなしマルチ商法』に注意」)。自分の契約がどちらかを判断するときは、名前ではなく上の3つがそろうかを見ます。
3つの取引の違い
| 連鎖販売取引(マルチ商法・MLM) | ねずみ講(無限連鎖講) | 業務提供誘引販売 | |
|---|---|---|---|
| 中身 | 商品・サービスの販売組織。紹介や販売で報酬 | 後から入った人の出したお金を先に入った人へ配当する組織 | 「仕事を紹介する」と誘い、そのための商品・講座を買わせる |
| 法律 | 特定商取引法で勧誘・広告・書面を規制 | 無限連鎖講の防止に関する法律で開設・勧誘・加入を禁止 | 特定商取引法で規制 |
| クーリング・オフ | 書面受領から20日 | (取引自体が禁止) | 書面受領から20日 |
クーリング・オフの期間は国民生活センター「クーリング・オフ」で確認できます。商品の実体が乏しく、配当の原資が新しい参加者のお金だけに見える場合は、ねずみ講の疑いとしてねずみ講かどうかの確認を参照してください。仕事の紹介と引き換えに教材を買った場合は業務提供誘引販売との違いが参考になります。
連鎖販売取引に当たると何が変わるか
連鎖販売取引に当たると、勧誘する側には次のような義務と禁止が課されます(消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」)。
- 勧誘の前に、統括者の名称、特定負担を伴う取引の勧誘であること、商品の種類を告げる
- 契約前に概要書面、契約後に契約書面を渡す
- 事実と違う説明、重要なことを故意に言わないこと、威迫して困惑させることの禁止
- 勧誘目的を告げずに呼び出し、人の出入りがない場所で勧誘することの禁止
消費者の側は、20日のクーリング・オフ、20日経過後の中途解約と返品、不実告知などで誤認した場合の取消しを使えます。物ではなく投資や副業のノウハウを扱う「モノなしマルチ」でも、要件を満たせば同じ規制の対象になります。2017〜2018年度は、マルチ商法の相談のうち役務(サービス)に関するものが商品を上回ったと国民生活センターは報告しています(同資料)。
判断に迷うとき
紹介報酬の仕組みが書かれた資料、入会時に払ったお金の内訳、受け取った書面をそろえて消費生活センター(188)に相談すると、どの取引に当たりそうかを一緒に整理してもらえます。最近の相談件数はマルチ商法の相談件数と統計にまとめています。
よくある質問
MLMは違法ですか
連鎖販売取引そのものは禁止されていません。勧誘の方法、広告、書面の交付などが特定商取引法で規制されており、違反があれば行政処分の対象になります。
「うちはネットワークビジネスだからマルチではない」と言われました
法律上は呼び方ではなく、紹介や販売による利益(特定利益)と入会時の負担(特定負担)を伴うかどうかで連鎖販売取引に当たるかを判断します。
商品があればねずみ講ではないのですか
ねずみ講は商品の販売を伴わない金品の配当組織を指します。商品があっても価値が乏しく、お金の流れが配当中心に見える場合は、仕組みの資料をそろえて相談してください。