セミナー・研修で勧誘されて契約したとき|帰れなかった場合の取消し
2026年10月22日に本文を全面的に書き直しました。書き直した本文は弁護士監修・技術確認の対象外です。
この記事の結論
- 勧誘目的を告げずに呼び出し、人の出入りがない場所で勧誘することは、特定商取引法で禁止されています。
- 帰りたいと伝えたのに帰してもらえず契約した場合は、消費者契約法の「退去妨害」で取り消せることがあります。
- 取消しには期限があります(追認できる時から1年、契約から5年)。経緯のメモを早めに作ります。
「勉強会」「交流会」「無料セミナー」に参加したら、マルチ商法やMLMの契約を勧められて契約してしまった方に向けて、勧誘の方法に問題があった場合の考え方と、記録の残し方をまとめました。
セミナー勧誘で問題になりやすい場面
国民生活センターには、知人に誘われた健康食品のセミナーがマルチ取引の勧誘だった、マッチングアプリで知り合った相手に連れられたセミナーで「人を紹介するとお金がもらえる」と言われ、断れずに契約した、といった相談が寄せられています(国民生活センター「マルチ取引」)。
勧誘の場で問題になるのは、主に次の3点です。
- 誘われたときに、ビジネスの勧誘だと告げられていたか
- 会場が、人の出入りがない場所(貸し切りの店、個人宅、会議室など)だったか
- 帰りたい、考えたいと伝えたのに、契約するまで帰してもらえなかったか
特定商取引法の禁止行為
連鎖販売取引では、勧誘に先立って、統括者の名前や、負担を伴う取引の勧誘であることを告げなければなりません。勧誘目的を告げずに誘い出した人を、人の出入りがない場所で勧誘することは禁止されています。消費者庁の通達は、事務所、個人の住居、ホテルの部屋や会議室、公共施設の会議室、カラオケボックス、貸し切り状態の飲食店などがこの「場所」に当たると例示しています(消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」)。威迫して困惑させる勧誘も禁止です。
消費者契約法で取り消せる勧誘
消費者契約法は、次のような勧誘で結んだ契約を取り消せるとしています(消費者庁「知っていますか?消費者契約法」)。
| 類型 | セミナー勧誘での例 |
|---|---|
| 退去妨害 | 会場で「帰りたい」と言ったのに、契約するまで帰してもらえなかった |
| 退去困難な場所へ同行 | 勧誘することを告げずに、自分では帰りにくい場所へ連れて行かれた |
| 相談の連絡を妨害 | 「親に相談したい」と言ったのに、威迫する言葉で止められた |
| 不安をあおる告知 | 社会経験の乏しさにつけ込み「このままでは成功しない、このセミナーが必要」と言われた |
| 好意の感情の不当な利用 | 恋愛感情を利用して「契約しないと関係を続けられない」と言われた |
取消しができるのは、追認できる時(困惑から抜け出した時など)から1年、契約から5年の間です(同資料)。
今のうちに書いておくメモ
誘われた日と文面、会場の場所と様子、同席した人数、勧誘の時間、自分が言ったこと(帰りたい、考えたい)と相手の返事を、日付つきで書きます。会場の地図アプリの履歴や、帰宅時刻が分かる交通系ICの記録も、時間の裏付けになります。
クーリング・オフも並行して確認
連鎖販売取引の契約であれば、契約書面を受け取ってから20日以内はクーリング・オフができます(国民生活センター「クーリング・オフ」)。期間内なら、取消しの理由を説明しなくても解除できるので、まず期間を確認してください。相談は消費者ホットライン188へ。
相談前に保存する証拠
契約書面・概要書面
受領日、記載内容、解除条件、統括者情報を確認します。
勧誘メッセージ
LINE、SNS DM、メール、セミナー案内、紹介者の説明を保存します。
退会・返金申請履歴
申請日、相手の返信、引き止め、追加提案の内容を保存します。
よくある質問
セミナーの参加費だけ払いました。返してもらえますか
参加費の契約と、その場で勧誘された契約は分けて考えます。参加費の扱いは申込時の条件を確認し、勧誘で結んだ契約はクーリング・オフや取消しを検討します。
「帰りたい」とははっきり言っていません
退去妨害の取消しは、帰りたいという意思を示したことが前提になります。言葉ではっきり言っていなくても、そのときの状況をメモにして消費生活センターに相談してください。
友人に誘われたので、友人を責めたくありません
契約の手続きは事業者に対して行います。友人との関係とは切り分けて、制度が使えるかを確認できます。
詐欺相談LINEで、契約内容と証拠を整理しましょう
追加で支払う前に、勧誘経緯・契約書面・支払い方法・借入状況・相手とのやり取りをチェックリストで整理できます。返金や解決を保証するものではありません。
詐欺相談LINEでチェックリストを受け取る個別の法的判断や返金可否は、弁護士確認後のご案内となります。