退会の前に保存する理由

マルチ商法(連鎖販売取引)の解約や返金で問題になるのは、主に「いつ書面を受け取ったか」「勧誘でどう説明されたか」「いくら払い、何を受け取ったか」の3点です。退会手続きをすると会員サイトにログインできなくなり、LINEグループから外されてトーク履歴を見返せなくなることがあります。退会の連絡をする前に、次の順番で保存してください。

退会前に消えやすい情報

退会、ブロック、グループ退出、アプリ削除の後に見られなくなりやすい情報があります。先に保存する順番を決めると、必要な情報を取り逃がしにくくなります。

優先度 情報 保存方法の例
高 契約書面・概要書面・利用規約 PDF、メール、申込画面、郵送書面を保存
高 支払いの証拠 カード明細、振込明細、ローン契約、領収書
高 勧誘の説明 LINE、SNS DM、セミナー資料、録音メモ、日時
中 報酬やランクの説明 組織図、紹介報酬表、ランク条件、達成条件
中 退会・解約のやり取り 退会フォーム、返信メール、引き止め文面
中 在庫・教材・ツール 商品写真、未使用状態、配送伝票、保管状況

スクリーンショットは、画面だけでなく日付、相手の表示名、URL、チャット名が分かる形で残すと確認しやすくなります。可能であれば、同じ内容をPDF保存や画面録画でも補ってください。

書面の受領日が大事な理由

連鎖販売取引のクーリング・オフは、契約書面を受け取った日から20日です。書面が交付されていない場合や、クーリング・オフの記載が無いなど重要な事項が欠けている場合は、20日の期間が始まらず、クーリング・オフできる状態が続くと消費者庁の通達は説明しています(消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」)。

そのため、書面を「受け取った」「受け取っていない」「PDFで後から送られてきた」のどれなのかを、日付つきで残すことが役に立ちます。メールで届いた場合は受信日時が分かる画面を、紙の場合は封筒や同封物も保管します。

勧誘時の説明を残すポイント

特定商取引法は、連鎖販売取引の勧誘で、事実と違うことを告げることや、重要なことを故意に告げないこと、威迫して困惑させることを禁じています。勧誘の目的を告げずに呼び出し、人の出入りがない場所(個人宅、貸し切りの飲食店、カラオケボックスなど)で勧誘することも禁止されています(消費者庁「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」)。うその説明で誤認して契約した場合は、契約を取り消せる規定もあります(同法第40条の3)。

こうした検討の材料になるのは、次のような記録です。

  • 最初に誘われたときのメッセージ(「ご飯に行こう」だけだったのか、ビジネスの話と告げていたのか)
  • 「月○万円稼げる」「すぐに元が取れる」など収入に関する説明の文面や資料
  • 説明会の場所、同席した人数、帰りたいと言ったかどうかのメモ
  • 組織図、ランク表、紹介報酬の計算表

記憶で書くメモは、思い出せるうちに日付と場所を入れて作っておきます。正確でない部分は「うろ覚え」と書き添えておけば十分です。

退会の連絡は保存が終わってから

保存を終えたら、退会・解約の申し出を、日付が残る方法(メール、書面、問い合わせフォームのスクリーンショット)で出します。引き止められたときの対応は退会を引き止められている場合、在庫が残る場合は解約と在庫返品の条件を参照してください。

よくある質問

退会してから証拠を集めても間に合いますか

自分のメール、カード明細、銀行の記録は退会後も残ります。ただし会員サイトやグループのトーク、報酬画面は見られなくなることがあるため、退会の前に保存するのが安全です。

契約書面を受け取った記憶がありません

書面が交付されていない場合、クーリング・オフの20日の期間が始まらないことがあります。受け取っていないこと自体を、いつ何を受け取ったかのメモとあわせて消費生活センターに伝えてください。

勧誘の会話を録音していません

録音が無くても、誘われたときのメッセージ、説明資料、当日のメモで経緯を説明できます。記憶で書くメモには日付と場所を入れ、不確かな点はその旨を書き添えます。