マルチ商法で逮捕されるのはどんな時?特商法の罰則と行政処分
この記事の結論
- マルチ商法(連鎖販売取引)そのものは違法ではありません。罰則の対象になるのは、うその勧誘、威迫、目的を隠した勧誘、法定書面を渡さないなど、特定商取引法の規制に違反したときです。
- うその勧誘や威迫は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり)で、本部や勧誘者だけでなく一般の会員にも禁止がかかります。会社には最大3億円の罰金が科されます。
- ネズミ講(無限連鎖講)は、加入を勧誘しただけでも20万円以下の罰金です。勧誘を受けたら、契約の前に消費者ホットライン188へ相談してください。
「マルチ商法の会社が逮捕された」というニュースを見て、自分が入っている、あるいは誘われている取引は大丈夫なのか不安になった人に向けて、どんな行為が処罰の対象になるのかを条文で整理しました。
最終更新日: 2026-10-24
マルチ商法そのものは違法ではない
マルチ商法は、特定商取引法では「連鎖販売取引」と呼ばれます。会員が次の会員を勧誘し、商品の購入などの負担と引き換えに紹介料などの利益が得られる仕組みで、取引そのものは禁止されていません。代わりに、勧誘のしかたや書面の交付などに細かい規制があり、違反すると行政処分や刑事罰の対象になります(e-Gov法令検索「特定商取引法」、2026年10月24日確認)。
一方、商品の取引を伴わず、後から入った人のお金を先に入った人に配る「ネズミ講」(無限連鎖講)は、無限連鎖講の防止に関する法律で全面的に禁止されています。違いはねずみ講とマルチ商法の違い|無限連鎖講に該当するかの見分け方にまとめています。
刑事罰の対象になる主な違反
| 違反 | 条文 | 罰則 |
|---|---|---|
| 商品の品質・負担額・利益・解約について、うそを告げる。本部や勧誘者が故意に事実を告げない | 34条1項・2項 | 3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科あり、70条1号) |
| 人を威迫して困惑させ、契約させたり解約を妨げたりする | 34条3項 | 同上 |
| 勧誘目的を隠して呼び出し、公衆の出入りしない場所で勧誘する | 34条4項 | 同上 |
| 業務停止命令・業務禁止命令に違反する | 39条・39条の2 | 同上(70条3号) |
| 法律で決められた概要書面・契約書面を渡さない、うその記載をする | 37条 | 6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(併科あり、71条1号) |
| 主務大臣の指示に違反する | 38条 | 同上(71条2号) |
会社の役員や従業員が業務として違反した場合は、行為者が罰せられるほか、会社にも罰金が科されます。業務停止命令などへの違反(70条3号)は3億円以下、うその勧誘や威迫など(70条1号)は1億円以下です(74条)。
会員個人も罰則の対象になり得る
うそを告げる禁止(34条2項)と、威迫して困惑させる禁止(34条3項)、目的を隠した勧誘の禁止(34条4項)は、本部(統括者)や勧誘者だけでなく、一般の会員(一般連鎖販売業者)にもかかります。「必ず儲かる」「すぐに元が取れる」と知り合いに言って勧誘すれば、会員個人も違反を問われることがあります。勧誘した側の責任と抜け方はマルチ商法で勧誘した側の責任は?にあります。
逮捕の前に行われることが多い行政処分
| 処分 | 内容 | 条文 |
|---|---|---|
| 指示 | 違反の是正などを指示する | 38条 |
| 取引停止命令 | 2年以内の期間を決めて、勧誘や取引の全部または一部を止めさせる | 39条 |
| 業務禁止命令 | 停止を命じた事業者の役員などに、同じ期間、同じ種類の業務を新たに始めることを禁じる | 39条の2 |
処分を受けた事業者の名前と違反の内容は、消費者庁や都道府県が公表しています。調べ方はマルチ商法の事業者に処分があるか調べる方法にまとめています。処分歴が無いことは、勧誘が適法だった証明にはなりません。
ネズミ講(無限連鎖講)の罰則
| 行為 | 罰則 |
|---|---|
| 開設・運営する | 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、または併科(5条) |
| 業として加入を勧誘する | 1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金(6条) |
| 加入を勧誘する | 20万円以下の罰金(7条) |
条文はe-Gov法令検索「無限連鎖講の防止に関する法律」で確認できます。LINEグループなどで「紹介するだけで配当」と誘われた場合の見分け方は、上の「ねずみ講とマルチ商法の違い」で説明しています。
うその勧誘で契約してしまったら
罰則とは別に、契約した人は自分の契約を見直せます。連鎖販売取引は、法定の書面を受け取った日(商品の引渡しが後ならその日)から20日間はクーリング・オフでき、その後も中途解約や、うその説明を理由とする取消しができる場合があります。手順はネットワークビジネスの解約手順|クーリングオフと中途解約に、勧誘の断り方はマルチ商法の勧誘の断り方にあります。被害の相談は消費者ホットライン188、脅されているなど身の危険があるときは警察(#9110、緊急時は110)へ。
よくある質問
マルチ商法に参加しているだけで逮捕されますか?
連鎖販売取引そのものは法律で禁止されていません。罰則の対象になるのは、うそを言って勧誘する、威迫して困惑させる、法律で決められた書面を渡さないなど、特定商取引法の規制に違反した場合です。
友達を勧誘した会員も罰せられますか?
特定商取引法は、本部(統括者)や勧誘者だけでなく、一般の会員(一般連鎖販売業者)が勧誘するときにも、うそを告げることや威迫して困惑させることを禁じています。違反すれば会員個人も罰則の対象になり得ます。
ネズミ講とマルチ商法は罰則が違いますか?
ネズミ講(無限連鎖講)は、開設・運営・加入・勧誘のすべてが禁止され、勧誘しただけでも20万円以下の罰金です。マルチ商法は商品やサービスの取引を伴う仕組みで、規制に違反した場合に罰則がかかります。
本記事は一般的な情報提供で、個別の勧誘や事業者が違法かどうか、処罰されるかを判断するものではありません。